上岡龍太郎にはダマされないぞ！そう意気込んで生きてきた渡辺電機(株)さんだが、結局何もかも、全財産も家庭も信用も腎臓も、すべて上岡龍太郎にだまし取られ、今では読売巨人軍多摩川寮の勝手口そばの茂みに潜んで、出入りするベンツの窓から捨てられるバナナの皮や食いかけのビーフジャーキー、プロテインの飲み残し、清原が食いかけで捨てたササミなどで、飢えをしのいでいる。だが、そんな彼が四つん這いで素早く澤村のベンツに忍び寄り、ビスコの食べカスをゲットする野獣のごとき動きを、金田正一は見逃さなかった。どや、ワイと一緒に日本シリーズに出ようやないか。歴史に残る黄金バッテリーの、誕生だった。だが、上岡龍太郎もまた、この様子をじっと見守っていた…。
