キャンパスクロッキー

出でよ土爪！そう叫んでポーズを決めた渡辺電機(株)さんだが、歌舞伎町の繁華街には何一つ変化が起きず、いつもどおりの雑踏の中で、渡辺電機(株)さんを囲む屈強の黒人たちも、笑顔のままだった。３×３アイズ、あれ作り話だったのかな…。初めて浮かんだ疑問に、それまで万能感に満ち溢れていた渡辺電機(株)さんの胸に、改めて恐怖心が湧き上がった。高田裕三だろ、大学で同級生だったんだってな。渡辺電機(株)さん、あんたと違ってクラスに溶け込んで、上手くやってたらしいじゃねえか。リーダー格の黒人はそう言って拳を握り、軽く渡辺電機(株)さんの胸を突いた。心を閉ざすんじゃねえよ。行ってきな、クラスコンパ。黒人さん、おれ…。涙を流してクラスコンパ会場の明大前居酒屋「その田」ののれんをくぐった渡辺電機(株)さんだったが、クラスを挙げての凄惨なリンチが待っているとは、思ってもいなかった。80年代の、よくあるキャンパスライフの一コマである。

絶好調で「何をやってもかっこいいことにされる」時期でしたが、このあと狂人ウィノナ・ライダーと付き合ったりサイエントロジー疑惑が起きたり、風向きが変ってきます。

ミッドナイト・ヴァルチャーズ