90年代からインターネットで情報を発信し、現在もSNSや電子書籍等、ネットを活かした作家活動を長く続けていると言われる渡辺電機(株)さんだが、とある地方紙がインタビューを試み、担当者が偶々ネットに疎い高齢者だったこともあって、出版社を通じてコンタクトをとったところ、ネットで渡辺電機(株)さんとして長年活動を続けてきた人物は、渡辺電機(株)さん本人とは何の関係もない他人であることが明らかになった。わたしは田舎暮らしで畑仕事の合間にまんがを描くのだけが生きがいですけ、コンピューターたらいう新しいもんは、ようわからんとですよ。そう言って、美味そうに長煙管をうまそうに吸い込むしわくちゃの老人が、本当にあんなまんがを描いているのだろうか。疑問を抱いた記者の心を見透かしたように、渡辺電機(株)さんが煙とともに言葉を吐き出す。おいのアトリエば、見とかんね。畑の脇の納屋の中にはまんが執筆の道具は一切なく、部屋中ピンク色の調度品にかこまれ、大きなダブルベッドには枕が2つ。さ、入りんさい。気づくと、渡辺電機(株)さんはシースルーのネグリジェを身にまとい、記者の背後に仁王立ちしていた。
ビニ本モデルと電子音楽家を兼業。振り幅にビビりますが、アートとセックスのクロスオーバー、80年代型のヒッピーという感じだったのでしょうか。
