さよなら渡辺電機(株)さん
持ち込みに訪れた出版社で、完全に新人と同じ応対をされ、ロビーで編集者を待ちながら、唇を噛んで屈辱に身を震わせる、ベテラン作家。チクショウ、天下の渡辺電機(株)だぞ!今行きますと言ったきり、一向に降りてくる気配のない編集者を待ちながら、渡辺電機(株)さんは、ロビーで長い年月を過ごした。やがて雑誌も出版社も潰れ、跡地がコンビニになり、それも潰れて外人向けゲストハウスとなり、それも老朽化して取り壊そうかとの話が出る頃、軒下で寝泊まりしていた渡辺電機(株)さんの命もまた、最期の時を迎えていた。ボロ布のように横たわる死骸が清掃業者の手で撤去されようとしている背後で、お待たせしましたあと能天気な声を出す編集者が、キョロキョロ辺りを見回して渡辺電機(株)さんを探す姿が現実なのか幻なのか、もう誰も気に止める者は無かった。
口パクの当て振りとはいえ、ガムを噛みながら収録に臨む天狗っぷり。だが、パンクロックの勢いに飲み込まれて表舞台から消えるまでのカウントダウンは、もう始まっているのだ…。
Make Me Smile (Come up and See Me)
- アーティスト: スティーヴ・ハーリー&コックニー・レベル
- 出版社/メーカー: Chrysalis Records
- 発売日: 2016/08/16
- メディア: MP3 ダウンロード
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