安倍総理にヘアヌードのオファーを出したところ、あっけなく快諾をもらってしまったので、在任中に発表できなければ意味が無いと、大急ぎで手はずを整え総理のスケジュールも調整し、一週間に及ぶバリ島撮影が決まった。撮影当日。ビーチの抜けるような青空の下、白いバスローブを脱ぎ捨てた安倍総理の裸体は、全身に見事な牡丹燈籠の入れ墨が彫られていた。そして陰茎のあるべき場所にはトーチが設置されている。呆気にとられて立ち尽くす我々スタッフの耳に、砂浜を駆けて来る足音が聞こえてきた。振り返ると、エスビー食品のゼッケンを付けたランナー瀬古利彦が、聖火を掲げてこちらに向かってくる。瀬古が総理の股間に聖火を灯すと、何処からともなく湧いて出た鳩の群れが一斉に飛び上がり、ファンファーレが鳴り響き、いつの間にか島を覆い尽くした大群衆から、われんばかりの拍手喝采が沸き起こった。
鬼のように忙しかった頃のフィルコリンズが、付き合いの良いところを見せている。
