渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

世の中、銭や!銭や!

新宿ションベン横丁のスタミナ居酒屋「なだ萬」で、鯨カツ定食に舌鼓を打っていたのは、プライヴェートのひとときを楽しんでいた、X JAPANのヨシキこと、林佳樹であった。そこへ店ののれんをくぐり現れた学ラン下駄履きの若者。素肌に巻いたサラシにはダイナマイトが巻きつけられ、手にかざした松明を手に、絶叫する。ガイアの怒りじゃー!平和の使者クジラを食べるやつは、全員地獄へ道連れじゃい!なんだ、電機さん。まあこっち来て、一緒に食いなよ。あくまで柔らかな物腰のヨシキに、渡辺電機(株)さんは出鼻をくじかれた格好で、なおもモジモジしている。で、なんぼ欲しいんや。金、困ってんねやろ。ヨシキが尻ポケットから分厚い長財布を取り出すと、あ、少しでいいんで…と、頭を掻き、腰をかがめて店内に入ってくる。かかったな乞食野郎が!地獄に行くのはてめえだよ!ヨシキの怒声に応じて天井から襲いかかる、サル、キジ、イヌに見えたそれは、人間の心を失い凶暴な野性の血をたぎらせた、トシ、ヒデ、タイジの成れの果ての獣人たちであった。だが、その時すでに渡辺電機(株)さんは口に鯨カツの残りをくわえ、新宿西口の上空高く舞い上がっていたのである。飛び去る大凧に向かって罵り続けながらガニ股で地団駄を踏むヨシキの姿が、渡辺電機(株)さんの視界から消えていく。都心の風は、もうすっかり冬だ。

30年前の曲ですが、今でも商店街とかでよく流れてますね。ラジオで聴いてアルバムを買ったら、腰が抜けるほどガッカリしました。プロデューサーはゼウス・B・ヘルド。70年代ドイツのプログレシーンから生き延びて、ジョン・フォックスの「ゴールデンセクション」やニナ・ハーゲンの後期作品、ブラック・ウフルのリミックスなど、微妙にドロ臭い仕事を残しています。そのソロ作品は、さらにドロ臭くて泣けます↓ 。小室哲哉の佐野元春リミックスと双璧の空虚さ。

The Fool On The Hill

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