渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

地球を釣る!

オーパオーパ!おいデブ、魚釣ってみろよ!かつて開高健と名乗って著作活動をしていたというホームレスをはやし立てる子どもたちの歓声を聞きつけ、リムジンを停めて出てきたのは、誰あろう横綱白鵬であった。あっ横綱だ!わあい!群がる子どもたちにサインをしてやり、弱い者いじめは止めるよう優しく諭した横綱は、雪駄の音をさせ、血だるまでうずくまるホームレスに近づいた。なんだいお相撲さん、あんたもピラルクを釣って欲しいのかい。仰ぎ見た自称開高健のホームレスが、目を丸くする。なんだ、横綱かい。ありゃ電機さん。何やってんの。い、いや知らねえ。おれぁ開高健だ。帰ってくれ!慌てて背を向け、釣り竿を拾って足を引きずり橋の下へ帰っていく渡辺電機(株)さんを、横綱は黙って見送った。何を考えているのかしらないが、まあ物好きなことだ。その夜。オーパオーパ!悲鳴にも近い絶叫で、横綱は飛び起きた。横綱、電機さんす。来客を告げる付き人が、顔面蒼白で震えている。稽古場に下りると、巨大なアリゲーターガーに頭を食われたままガッチリと抱きしめた渡辺電機(株)さんが、血だらけで倒れている。横綱、どうしてもあんたに食わせてやりたくて。電機さん!いや、おれは渡辺電機(株)じゃねえ。そ、そうだ。開高先生だったな。やったな、開高先生。大漁だ。オーパ…。弱々しく呟いて親指をたて、微笑んだまま、渡辺電機(株)さんは絶命した。アリゲーターガーは沼の泥くさく、煮ても焼いても食えたものではなかったという。

宇宙犬コテカ

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