渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

殺人カーニバル

アフターバーナーの筐体の中でボタンを連打しながら奇声を発している渡辺電機(株)さんに、進んで声をかけようとする者もいなかった。十年以上も前に動きを止めた埃まみれの暗い筐体の中で、子どものようにキラキラと輝く渡辺電機(株)さんの瞳には、もうこの現実は映っていないのだった。ひと思いに、楽にしてやって下さい。泣きながら頭を下げる家族に黙ってうなづき、ゆっくりと筐体に歩み寄る安部譲二。ホンモノの発する殺気のオーラに反応して、渡辺電機(株)さんは奇声を発しボタンを連打し続けながらも、その目には知性が戻り、暗いモニタに映り込んだ安部譲二の顔を、じっと見つめていた。次第にその表情に宿る凶暴な殺意。呼応するかのように安部もまた、満面の笑みが次第に朱に染まって行く。

ムタンチス

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