べしゃり暮らし

埼玉で発見された外来種の体長15cmのマダラ模様のナメクジを見て人々はきゃあこわい、気持ち悪いと目を覆ったが、さすがに渡辺電機(株)さんは目のつけどころが違う。NSC在籍時からその才能が評判を呼び、デビュー年のM1グランプリでいきなり優勝、たちまちお笑いバラエティの人気者にのし上がったものの、よくあるコンビ格差による不和が原因で相方が去り、ピン芸人になったことで、リズムが狂った。以後はやることなすこと上手く行かず、気負った大仕事は放送事故、劇場に出れば空回り、さらには大御所の前での失態も繰り返し、すっかり「一発屋」の境遇に落ちぶれていた。だから、かつての人気者が新たにコンビを組み直してM１に再挑戦した時、人々は心底驚いた。渡辺電機(株)さんが相方に選んだのは、あの埼玉に現れたマダラ模様の巨大ナメクジだったのである。マシンガンのように喋り続ける渡辺電機(株)さんの横で、無言でゆっくりと舞台上を這い回るナメクジは、なぜか視聴者の心を魅了した。新たなお笑い界のスターの登場。その陰で、完全に引き立て役に回った渡辺電機(株)さんは、数年後ひっそりと業界を去ったが、気に留める者はいなかったという。

２名がすでに故人。ビビヤンスーも、もう42歳か。

地球的病気-We are the d.e.p-