渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

野望の王国

エッチなおじさんが総理大臣になっちゃいけねェって決まりでもあんのか?そう言ってぷぅっと頬をふくらます細野豪志代議士に、渡辺電機(株)さんは決まりなんかねぇけどさ、やっぱりエッチなだけじゃダメなんだろ?そう言いながら、ナメクジの干物を勧めた。エッチなだけじゃねえよ!不機嫌に吐き捨てると、細野は差し出されたナメクジを残らずわしづかみにして、一気に口の中に放り込む。おれだって色々考えがあんだよ。福祉だろ、税金だろ、えーとそれから…まぁその、色々だ!おれにゃあむつかしいこたわかんねえけどな、人の道だけは外れちゃなんねぇって思ってンだ!渡辺電機(株)さんはただただ感心して、細野の話を聞いている。やっぱこいつ、学あンなァ…。そんな細野が本当に総理大臣どころか初代日本国大統領になる日が来ようとは…。嬉しさでいてもたってもいられなくなった渡辺電機(株)さんは、ブルーシートの自宅から這い出し、なけなしの小銭で買ったワンカップを祝いに手渡そうと、人並みをかき分けてパレードの先頭を行く細野のオープンカーに近づいた。おーい細野ちゃん、エッチなおじさん、おれだよーう。車上から一瞥をくれた細野がアゴを軽く動かすと、音もなく現れた警官が渡辺電機(株)さんをアッというまに組み伏せてパトカーに押し込み、群衆に気づかれることもなく走り去った。長く暗い独裁政治の、幕開けだった。

 時代遅れの感のあったサイケ&フォーク風のデビュー作から一転、コニー・プランクのスタジオでプログレ風味の可愛らしいロックに軌道修正。上品でよく練られていて、終盤の盛り上がりも良い。この路線で売れて、以後だんだん普通のポップスになって行き、数年後には空気のようなどうでもいい音楽に…。

Hoelderlin

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