渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

怪談ばけねこボクサー

亀田四兄弟の最終兵器・亀田電毅と名乗って話題を引っ張りつつ、一向にデビューしないまま、とうとう五十歳を超えてしまった渡辺電機(株)さんを、史郎氏はたまりかねて大阪のジムに呼び出した。忙しい合間を塗って三兄弟も顔を揃え、父とともに渡辺電機(株)さんの到着を待ったが、約束の時間を過ぎても、その気配はなかった。逃げたんちゃうの、兄貴。鼻を鳴らす知毅を制し、渋滞かなんかで動けへんのとちゃうかと、心配そうに眉をひそめる興毅。おれが見てくるわ。拳と手のひらをパシパシ言わしながら階下へ下りていった大毅の、怯えきった悲鳴が響き渡り、一同慌てて立ち上がり、階段を駆け下りた。馬ほどもある巨大な猫が、大の字に倒れた大毅の胸の上に乗り、その顔をぺろりぺろりと舐めている。凍りつく兄弟を下がらせ、史郎氏が進み出た。とうとう人の心を忘れたんか、電毅。かつて渡辺電機(株)さんだった巨大な猫はにゃぁ、とひと鳴きすると、目にも止まらない速さで、窓から飛び出して行った。大毅を助け起こす知毅を呆然と眺める史郎氏。親父、どうする。興毅の問いかけに、ゆっくりと向き直った史郎氏の目に、やがて使命感の炎が宿る。やるしか無いやろ。あれは、おれたち亀田家が作り出した怪物や。史郎氏が差し出した拳の上に、三兄弟が順番に、拳を乗せて行く。最後の戦いの時が、迫っていた。

英国屈指のアイドルバンドが、グラムロックが廃れるとともに地味になって行った果てに、起死回生でクイーンの二番煎じを出してきて、終わったな…と思ったら、全米9位に入る、過去最高の大ヒットになってしまった。が、既にバンドは煮詰まりまくっており、これを最後のひと花に、看板のボーカルが脱退。しばらく3人組で数枚の地味な作品を出すも、やがて人知れず解散。時代は既にデュランデュランとヒューマンリーグが席巻しており、日本には特にニュースも伝わって来なかった。

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