渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

昭和文壇交遊録

東京會舘で文士の集いに出席。佐藤春夫、高見順らと文學談義に花を咲かせる内に、別室から聞こえる声高な放歌高吟、馬鹿笑いが気になって仕方がない。ボイを呼びつけ、静かにしてもらえないかねと尋ねると、何でも「ヱスエフ作家倶楽部」とかいう三文文士の集まりで、毎度ゝゝの馬鹿騒ぎで、当館としても困っているとの由。ならば話が早い、文壇の重鎮としてこの私がひとこと言ってやろうと立ち上がった。廊下に出てみると、隣の騒ぎは盛り上がりを増してをり、破廉恥な歌声が通路の天井に響き渡るほどだった。咳払いをひとつ、ステッキで扉をノックする。返事を待たず扉を押して中に足を踏み入れると、無人の室内は暗く静まり返り、中央に置かれた座布団の上に、大きな影があぐらをかいて座っていた。遅かったな、電機さん。慌てて結界を張ったが、後の祭り。またしても白鵬に捕まったおれは、延々と朝まで続く猛稽古で泥まみれになり、お土産の横綱の四股名染め抜きの浴衣と部屋特製ちゃんこセット、湯呑みを持たされ、逃げるように早朝の両国の街を後にした。また、強くなってしまった…。

Dream Baby Dream

Dream Baby Dream