渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

神隠しの夜

おれを乗せた車椅子は、細い山道をずんずん分け入り、人影もない峠道をどこまでも進んだ。どこまで行くのか問うても、後ろから答えはない。振り向いて押し手の姿を確認しようにも、強い西日にかき消され、その姿はよくわからない。おい、おれをどうする気だ。街に帰してくれないか。押し手は無言のまま答えず、いつしか日はとっぷりと暮れ、おれたちは月明かりの中、尾根伝いに進み続けた。車椅子から飛び降りようにも、闇の中で時折り聞こえる小石の落ちる音から、絶壁伝いに進んでいることが分かり、おれはただ身を固くして恐怖に耐えるしか無かった。いつの間に眠っていたのか、強烈な光を感じて目覚めたおれは、慌てて身を起こし周囲を見回した。何万人という大群衆の咆哮と、大音量の音楽。そこは、℃−ute東京ドーム公演のステージだった。おれたちは半円形にせり出した舞台の縁のところを、一晩中ぐるぐると往復し続けていたのだった。

「宇宙さん」突然現れるフェンシングの人が、宇宙さんなのでしょうか。

Mr Universe

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