仕事上がりのおやつにと思って大事にとっておいたカツオノエボシの砂糖漬けが、袋に穴が空いていたのか、びっしりとアリにたかられていた。怒りで目の前が真っ赤になり、♪何が日本の象徴だ!何もしねえでふざけんな!と、亞無亞危異の歌を絶叫してふと我に返り、今考えてみれば24時間拘束で一切の自由がなく、公式行事にほぼ毎日駆り出されるあの生活の、どこが「何もしねえ」と言えるのかと、いたたまれない気持ちになった。もうおれ、あの歌うたえへんわ…。いつになく弱気になった渡辺電機(株)さんを囲む亞無亞危異のメンバーたちも、話を聞いて一様に涙を流し、これからは感謝の気持ちを歌にしていこうと誓い合ったが、翌日関東を襲った大地震で、すべては灰燼に帰し、渡辺電機(株)さんの行方もわからない。