渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

ガイアの祈り

数年前まであんなに売れていたイルカの絵は、どこへ行ってしまったのか。そして、あの自然を愛し地球を想うガイアの申し子、真のスピリチュアル・アーチスト、ラッセンは今、何をしているのか。「その正体が、おれだと言いたいのかね」呆れたように振り返り、太地町の浜辺の砂の上に立ち上がった渡辺電機(株)さん。真っ黒に日焼けし、鋭く巨大な銛を持ち、腰には戦利品のイルカの生首をぶら下げている。「浜一番のイルカ殺しのこのおれが、あの絵を描いたと言うのかね」高らかに笑うと、手に持った銛を思い切り頭上に放り上げた。銛は放物線を描いてまっすぐに落下し、白い砂浜に突き刺さった。絶叫。砂上にみるみる血だまりが広がり、地中に身を潜めて我々を狙っていた人喰いイルカが、苦悶の声をあげて這い出し、息絶えた。「帰って言い伝えるがいい。ガイアの友・ラッセンは死んだとな!」切り取ったイルカの頭部を頭上にかざし咆哮すると、何頭ものイルカの背びれが群がる海の中に、踊り込んで行った。