渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

浅草六区官能絵巻

小学校の低学年くらいまで、東京に行けば道をコント55号が歩いており、おれを見つけた欽ちゃんの方からやあやあと声をかけてくれるものと思い込んでいたので、大人になって芸人を目指して上京し、浅草の劇場で初めて大将にお目にかかった時も、ついその延長で、やあ欽ちゃんオレ東京に来たんだよと話しかけてしまった。怪訝な顔で振り返った大将はおれの顔を見ると、アゴが外れんばかりの驚愕の表情を浮かべ、手に持っていた茶碗を床に落とした。「電機…さんッ!」言っただろ欽ちゃん、絶対逃がさないよ。夢の中で何度も何度も犯し、慰みものにしてきた懐かしいその顔が、これから始まるであろう淫虐の日々への恐怖と期待とで、紅潮して震えた。