生涯ただ一度だけポルノ専門映画館で観たのが、よりにもよって勝目梓原作「悪女軍団」だったので、三姉妹ににウイスキーを静脈注射されて風呂で溺死させられるヤクザとか、面白すぎてエロい気分になるどころでは無かった。映画館といえば親と一緒に見に行く東宝チャンピオンまつりのイメージが強かったので、スクリーンいっぱいに凶悪なオッサンの顔が大写しになって「自分で自分を慰めるんだ。オナ二ーするんだよ！」などと命令されるのは、とてもシュールな体験だった。そのおれがまさか、白鵬から逃れて流れ着いたパッタヤーの片田舎の、ポルノ映画館の支配人として余生を過ごすことになるとは、皮肉なものである。できることなら、もう一度日本に帰りたい…。
