おしぼりと花を今後は別の業者に頼むことにしたからと、付き合いを絶つことを通告してきた店が立て続けに現れ、暴対法と警察の指導でいよいよ追いつめられ、起死回生を賭けて始めたマンガ家稼業だったが、あれからもう四半世紀。最近は刺青マンガ家お断りの編集部も増えて、この業界も肩身が狭くなってきた。おれは素人さんにだけは迷惑をかけないよう、慎ましく任侠の道を生きてきたつもりだったのだが。しかし、ある日関東を襲ったマグニチュード10の地震が世界を、彼の人生をも一変させた。もとより体格だけは誰にも負けなかったおれの人生は、かつて無いほど充実したものになった。筋肉はゴリラ！牙は狼！燃える瞳は原始の炎！2m20の全身に闘争のエネルギーが満ちていた！
自分が三十路のおっさんなのを思い出して我に返るのは、もう少し後でしょうか。
