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渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

土俵の逢魔が刻

誰だよこんなとこにゲロ吐いたの!と叫んで白鵬が指差した先には、おれの単行本や同人誌が散らばっていて、ああひどいこと言うんだなあと内心傷つきながら、素知らぬ顔でテッポウを続けていた。早くしろよ!と、横綱の怒声を浴びながら出てきたのは、不祥事さえなければ今ごろは部屋持ちの理事として権勢を振るっていたはずの、貴闘力であった。すいませんすいませんと呟きながら、おれの本に大量のオガクズをぶっかけると、箒でバッサバッサとチリトリの中に掃き寄せ、なおも背中に罵声を浴びながらスゴスゴと出て行った。横綱はクルリとおれの方を向き、電機さんこれでいいっすか?気が済みましたか?と、心配そうに尋ねた。いや、気が済むも何もさあ…そう言いかけたが、なんだか重苦しい胸騒ぎがして、思わず視線を逸らした。いつの間にか暗くなった稽古場は無人でシンと静まり返り、横綱の姿も暗闇の中で巨大な黒い影になり、人間なのか地蔵なのか、見分けがつかなくなった。

Raquel

Raquel