マクドナルドで隣の席の女子高生の会話が耳に入ってきて、どう考えてもおれの悪口だった。てめえら中国残留孤児をなめてんのかよ！恫喝すると、少女たちは表情も変えず「そんな若けえ残留孤児がいるかよ」「話しかけてえだけだろクソ野郎」「失せろ豚」と、口々に吐き捨てた。すごすご引き上げたものの納得が行かず、横綱白鵬に電話して応援を頼んだが、今は大事な巡業の稽古中であること、たかが子供相手にむきになるのは恥ずかしいことなどを、諄々と説教されるハメに…。それでも帰京後に一杯やりましょうと言ってくれて、横綱の思いやりに感謝。気持ちも落ち着いてさっきの女子高生たちの方を見ると、女子高生と思っていたのは、三体の苔むした道祖神だった。
