渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

栄光の背番号3

祖父の戦争体験を聞かせてもらうために、父方の本家のある新潟へ。中国で終戦を迎え、死ぬ思いをして3年の時間をかけて日本まで帰り着いた祖父が、墓まで持っていくつもりで胸に仕舞い込んでいた戦地での悪事の数々を、石抱きや生爪剥がし等の苛烈な拷問で、次々と白状させて行った。祖父の話は太平洋戦争から日華事変、果ては日露、日清戦争から西南の役に及び、ついには新選組屯所で芹沢鴨を暗殺した状況が事細かに語られるに至り、さすがにおれも訊かずにいられなかった。「…おめぇ、いったい何モンだ?」「まだ想い出せぬか、アルテシア。私だ。お前の婚約者、トリアーデだ」その名前を聞き、奔流のように前世の記憶が次々と甦った。木星の衛星タイタンの首都パルシファルを守る「暁の四騎士」として、地球軍を迎え撃ったあの日々が。「トリアーデ、今まで私は一体…?」「話はあとだ。今は巨人軍を救うのが先だ」おれを制して祖父が手渡したのは、背番号3のユニフォームだった。

Best Of

Best Of