渡辺電機(株)

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エロ劇画黄金時代

昭和50年頃のことです。新卒で配属されたのは希望していた実話雑誌ではなく、当時売れに売れていた官能劇画雑誌だったので、正直ガッカリでした。配属初日に命じられたのは、今もご健在の大家、ケン月影先生の原稿取り。「あの先生は自宅の郵便受けに原稿が突っ込んであるからさ、それ取ってくるだけだから。挨拶とか別にいいからね」と編集長に言われるままに郵便受けを覗くと、なるほど無造作に大判の茶封筒が突っ込まれている。編集長はああ言ったが、やはり新人として一言ご挨拶をと呼び鈴を探しながら、ふと道路に面した出窓に目をやり、凍りついた。レースのカーテン越しに、どろんとした死人のような目でおれを見下ろしているのは、まぎれもない横綱白鵬だった。