幻の必殺アッパーカット

オックスフォードに留学していた時のルームメイトが亡くなったとの報を受け、横浜からの船便で葬儀に向かった。南インド洋で巨大タコ、スエズ運河では土人の海賊に襲われ、現地についた頃には船の生存者はおれ一人になってしまった上に、辛苦を経てすっかり容貌が変わっており、倫敦の街は、海の化け物が上陸してきたと大騒ぎになってしまった。英国艦隊の砲撃を受けてもビクともしなかった堅い銀色のウロコに護られ、おれは今でもドーバー海峡の底で魚介類や溺死体を食ってのんびり暮らしている。そんなある日、転校生がやって来た。（続く

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