渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

残虐アナルドリラー

小学校に上がって衝撃を受けたのは、鼻をたらした薄汚い佐々木君という同級生。集団下校の際に話しかけて来て「あんた何町?」と頭のてっぺんから声を出すので応えると、「じゃあオイラと一緒じゃないか、手ーつなごうよー」と、爪の真っ黒な手を伸ばして来た。ナチュラルにオイラという一人称を発する人間は、後にも先にもこの佐々木君しか知らない。ビートたけし出現でその意味も変わったが、あの「ちょっとワルで淋しがり屋の人情派」を演出する気色の悪い平成オイラではなく、田舎のピュアオイラ。父親が無職で母の内職で一家4人がアバラ家で暮らしており、あの子とは遊ばせるなと両親が近所から忠告をしばしば受けた戦災孤児のようなワイルドボーイが、高校で機械工学に目覚め、立命館大から大手造船会社に入り、今では裕福な家庭を持ち、両親に大きな家を建ててやったという。昔のよしみで何かおこぼれに…と、おそるおそる電話してみたが、「ワンと鳴いてみなよ乞食漫画家野郎」と笑われ、泣きながら通話を切った。本物のオイラはやはりベースの音が太く、重い。

Chaos A.D.

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