渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

アッ!ズルイヤ

札幌では結局昔からの友人に捕まってしまい、乞食専用のカプセルホテルに泊まるつもりが、豪華なホテルを用意していただいた。事前に札幌来訪を知らせると、絶対ホテルからメシからバクチからオゴリまくってくれるので、なんか申し訳なくて報せてなかったのだった。「行きますんでエヘヘひとつよしなに」なんて、お旦目当ての落語家みたいなのもカッコワリーというか…。ま、こういう友情を遠慮していてはいかんのだが。デリを送り込まれないように厳重に鍵を閉めて熟睡、朝は6時に起床してホテルを飛び出し、コンビニで肉まんとカツゲンを買い求め、札駅まで全力疾走!(全裸なので歩くと捕まる。)通勤ラッシュ前の電車に飛び乗って小樽へ向かう。
4年ぶりくらいで訪れた小樽の駅前は、拍子抜けするくらいスッキリあか抜けて、昭和の香りが無くなってしまっていた。もちろん住民が住み良いのが一番なのはわかっているが。昨夜の友人に勧められた「青塚食堂」へ行こうと水族館行きのバスの乗車口に行ったら、満面に笑みをたたえた幸福そうな若い観光客が並んでいたので、一人一人の顔をにらみ据えながら「ウボボボボウボウボボボボボウボ」とデス声で威嚇、うろこ亭でタラバガニをちょっといじくって、小樽を離れて余市に向かったのだった。小樽では写真を撮る気にもならなかったな。

母親から戦前の光景を聞いて、てっきり漁村だと思い込んでいた余市は、ニッカウヰスキーと毛利さんの街として、けっこう開けていた。駅を出たらしょうゆの看板くらいしか無い閑散とした一本道が海まで続いていると思い込んでいたので非常にガッカリしてしまい、駅構内の名産コーナーで一番高いしらすの佃煮を実家に郵送するよう手配し、わずか20分余の滞在で、失意のまま札幌に戻ることにした。なんというかアレだ、小樽市外や余市よりも、函館本線の車内から見る海の方がきれいでダイナミックなのは、どうしたもんか。まぁ時間と金をケチって沿岸部まで足を伸ばさないおれが悪いのだが。
札幌に戻り、狸小路のどってことない回転寿司屋で1000円ほどつまみ、移転した新装まんだらけ小多魔若史「おしゃぶり天使」を、つぼみ似の美少女店員から買い、件の友人と待ち合わせて駅前の地方馬券売り場にて門別競馬で8億円ほど散財。駅構内の蕎麦屋にて「天然で潮吹きが出来る女の子にビャービャー潮を浴びせてもらって喜んでいたら、蓄膿症になってしまった」など、ためになる話を仕入れて、快速エアポートに飛び乗り、新千歳空港から飛び立った羽田行きの便が3日経った今も着陸する気配どころか、おれ以外の誰一人乗っていないのはどういうことか。「もう札幌来ないつもりでしょ」と呟いた友人の暗い目が、窓の外に光つてゐるやうに思はれた。

旅の間、読んでいた。ヴォネガットはこの30年で4冊くらいしか読んでいないのだけど、これは楽しめた方。でも、やっぱりそんなに好きではないです。なぜということもないが、まぁいけ好かないという感覚はそういうもので…。あと、今回使用したフリーきっぷは、これ