渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

まあじゃんほうろうき

ミミズが無いなら、ナメクジを食べればいいじゃない。庶民の暮らしを知らない渡辺電機(株)さんの酷薄な言葉に、顔を見合わせため息をつく臣下たち。これでは、ますます民の心は離れてしまう。その夜、武装蜂起した民衆が、王宮に押し寄せた。門を破り火を放ち、最上階をめざしたが、玉座はもぬけのカラだった。すでに渡辺電機(株)さんはこの昆虫ワールドを捨てて戦後混乱期の東京に転生、雀鬼として雀荘を荒らし回り、ドサ健の異名で知られる存在となっていたのである。

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飛び出せ!青春

渡辺電機(株)とザ・グッバイなるバンド名でコンサートを行って荒稼ぎし、野村義男に巨額の賠償請求をされて進退窮まった渡辺電機(株)さんを救ったのが、横綱の強烈な張り手の一撃だった。渡辺電機(株)さんは大の字にノビた野村を足で小突き、ペッと唾を吐きかけると、忌々しげに「とんでもねぇ野郎だ!」と吐き捨てた。横綱、こいつ東京湾に沈めちまいましょうぜ。だが、横綱は動かない。ねぇ横綱?振り仰いだ渡辺電機(株)さんを冷たく一瞥すると横綱は、気絶して動かない野村の側にそっと膝をついた。見なよ電機さん、気絶してもギターを離さねえ。こいつはホンモノのギター弾きだ。マンガも中途半端、バンドも中途半端のあんたとは、大違いだぜ。なッ、何をォ??カッと頭に血を上らせ、思い切り野村の頭を踏みつけようとした渡辺電機(株)さんを、横綱は襟首をつまんで持ち上げ、背後の車が行き交う靖国通りに放り投げた。やっと本当の男に出会ったんだ、渡辺電機(株)さん。これでお別れだ。おれはこいつと一緒に行くぜ。野村を抱き上げる横綱の言葉も、何台もの車に轢かれクチャクチャになった渡辺電機(株)さんの耳には、もう届かなかった。

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耳なし芳一

ピカチュウ元気でチュウ!衆院予算委員会の静寂を破る、朗々たる絶叫。全裸の身体に般若心経ペイントした渡辺電機(株)さんが、仁王立ちしている。ピカーー!地響きの如き怒声を発し、経文で覆われた小ぶりの陰茎を振りかざす。陰茎はゆっくりと硬さを増し、屹立するとともに、包皮に隠れていた可愛らしいピンク色の先端部が、顔をのぞかせる。あ、こんなところにちんちんが。野太い声が聞こえ、恐ろしい力が、渡辺電機(株)さんの陰茎を掴む。身体の中で唯一、経文の書かれていなかった陰茎の先端部が、亡霊に見つかってしまったのである。黄泉の世界に陰茎を持ち去られた渡辺電機(株)さんは、化粧をして赤いドレスを身にまとい、ゲタゲタ笑いながら、恋に冒険に大活躍の人生を送ったという。

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ザ・ステテコンドル

許せんッ悪漢め!大型家電店のAV機器売り場でアニメ「ポケットモンスター」に見入っていた渡辺電機(株)さんが、憤怒に髪を逆立てて絶叫した。危ないサトシーーーッ!!悲痛な叫びに、店中の視線が集まる。お客さん、ちょっとこちらへ…。屈強な警備員が肩にかけた手を振り払おうと、乱暴に肩を揺すった渡辺電機(株)さんだが、身体はガッチリ押さえつけられ、微動だにしない。なんやくらぁ、離さんかい!怒声を張り上げた次の瞬間、巨大な掌が渡辺電機(株)さんの顔面を襲い、鼻血と前歯を噴いて、仰向けに倒れた。遠のく意識の中で、ハッキリ力の差を思い知らされたことに清々しさを覚える渡辺電機(株)さん。一度めの首相の座を追われ、警備員のバイトをしていた当時の安倍総理との、運命の出会いだった。

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江戸の疾風

御用ッ!御用ッ!飛び交う追っ手の声。江戸の闇夜に乱舞する、御用提灯。頰かむりをして尻をからげ、地下足袋でひらりひらりと屋根伝いに疾走る、安倍総理。まさか天下の盗賊「ふぐり小僧」が、内閣総理大臣と同一人物だとは、誰が知っていようか。ただ一人、渡辺電機(株)さんを除いては…。今日も盗賊ふぐり小僧の正体を暴こうと、悪の組織に深入りして捕らえられ、あべこべにふぐり小僧に助け出された渡辺電機(株)さんは、安倍総理の厚い胸に抱きかかえられながら、「絶対秘密を暴いてやるわ!」と誓うのだった…。

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陰茎酒

1983年、"Say Say Say"をデュエットして肌の色の違いを超えた友情をアピールしたポール・マッカートニーと渡辺電機(株)さんだったが、1987年に渡辺電機(株)さんが陰茎詐欺で逮捕され、ポールからも大量の陰茎を騙し取っていた事実が判明したことで、蜜月はあっけなく終りを迎えた。そのとき詐取された陰茎の中には、ハンブルグ時代のジョンとスチュワート・サトクリフや、マハリシ・ヨギの元で瞑想していた時期の四人など、貴重な陰茎も含まれており、ポップス史の重要なカギを握る陰茎の多くが散逸した。そのうちの一本、ピート・ベストがデビューシングル"Love Me Do"発売後に解雇されたその場で切り取られた陰茎が巡り巡って海を渡り、焼酎に漬け込まれて50余年を経たのが、この陰茎酒。飲めばほんの一時、はるかリヴァプールでピートが味わった屈辱と悲しみを、極上の酔いとともに味わえます。さあどうぞお客さん。お客さん…?うわっポール!ち、違うんだこれは…ヒィーッ許してくれ!!

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オーパ!

幻の巨大ノーザンパイクを求めて、ユーコン川をペットボトル筏で遡って行き、そのまま消息を絶った渡辺電機(株)さんの行方を探して、順風満帆の芸能活動を休んでまでゴムボートで後を追った坂上忍も、やはり帰って来なかった。半年後、成田空港。何食わぬ顔で戻って来た渡辺電機(株)さんのバッグの中から、微かに悲鳴が聞こえる。カナダみやげのイクラの一粒一粒が、全て坂上忍の顔をして、助けを求めていたのである。

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