「やる気が出ない」を「モチベーションが上がらない」と言い換える等、根性論を捨ててしまったときから、この国の経済は衰退し始めたんじゃ!おまえらエフワンレーサーの責任じゃ!目の前に正座した中嶋悟、鈴木亜久里、片山右京、鈴木利男、中野信治、佐藤琢磨ら錚々たる顔ぶれを前にして、得意満面で竹刀を振り回し演説する渡辺電機(株)さんが、彼らの運転するフォーミュラマシンに追い回され、半狂乱で富士スピードウェイのコース上を逃げ惑う地獄のどっきりが今、静かに始まろうとしていた…。
続きを読む裂けた旅券
もう亡くなった有名な漫画家さんの臨時アシに入った時、そこのチーフのトロい奴がおれをリラックスさせようとしてか「このマンション、出るんだよ…」等、しょうもない話を振ってきて、めんどくさくて仕方なかったのだが、その中のひとつ「某M先生はビッグコミックの連載、自分で雑誌を毎号何十冊も買って、アンケートの組織票を出していたのがバレて、打ち切りになったよ」というのを聞いた直後に、別の現場でそのM先生が遊びに来ているという奇跡が起きた。おれはその話をご本人に聞いてみたくてウズウズしながら、さすがに聞けるワケもなく、友人のよしみで作業に参加したそのM先生に「ちょっと定規貸してください」と声をかけられたものだから、嬉しくてフワフワした気分になり、気がついたらベタを塗る部分にビッシリと般若心経を描き込んでしまっていた。以来、おれはコーヒーを淹れる以外の作業をさせてもらえなくなり、しかも家に帰ったら、知らない黒人一家が住み着いていた。それが今の、大切な家族たちだ。まあ実際のところ、専業アシスタントの語る悪口・噂話のたぐいは、信用してはいけない。
続きを読むハートに火をつけて
天然酵母の手作りベーカリーの軒先で、土下座して浜田省吾「MONEY」を熱唱し続け、渋々といった面持ちの店主が投げてよこしたパンの耳が詰まった紙袋を手に、ホクホク顔で三条大橋を渡ろうとしたら、香りを嗅ぎつけた鴨が群がってきて、アッという間にパンの耳は食い尽くされてしまった。そのときおれは、京の街がこのおれを受け入れてはくれないということを、はっきりと思い知ったのだ。それからよ、この三条大橋で武士相手の追い剥ぎをするようになったのは。大手の藩に召し抱えられぬくぬくと暮らす、小金持ちのふぬけた腰抜け侍の、お飾りと化した腰のものを奪ったとて、なんの罪があろうか。さあ、おとなしく刀と銭を置いて行け。名は何と申す。なに、沖
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げじげじの死
蓮舫民進党首の元ヒモとして、週刊文春にベッドでのニャンニャン写真を売り込んだが、おれの稚拙なアイコラは瞬時に見抜かれ、小遣い稼ぎどころか、多額の賠償金の返済を課せられて人生アウトかと思われた。だが、蓮舫の温情でおれは訴追を免れ、恩義を感じたおれはそれ以来、ダークスーツにサングラスで腕組みをして仁王立ちする、ボディガード軍団の一員として、命を賭けて彼女を守っている。でも、コミティアも近いんで新刊出したいし、ちょっとお休みもらって原稿しますニャン!そう言って上機嫌でスキップしながら党本部を飛び出したところを背後から一斉射撃され、焼け焦げたボロボロの肉片になった。こ、こんなのってアリ〜〜?!
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